血液凝固因子製剤による治療を行うと、患者さんによっては投与された血液凝固因子をからだが異物とみなし、「インヒビター」という抗体ができてしまうことがあります。今までの調査では、血液凝固第Ⅸ因子製剤によりインヒビターができる割合は、3.5~5.2%*と報告されています。からだのなかのインヒビターの量を表すのにはベセスダ ユニット(BU)という単位が使われ、BUの値が高いほど血液凝固第Ⅸ因子製剤の効き目が弱くなることを示しています。
* インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版
いちどインヒビターができてしまうと、血液凝固因子製剤の効き目が悪くなるため、治療法の変更が必要になります。インヒビターをもつ患者さんに対する止血療法は、インヒビター中和療法とバイパス止血療法があり、その他にインヒビターを消失させることを目標とした免疫寛容導入療法があります。
インヒビター中和療法 | 血液凝固因子製剤をたくさん投与することによってインヒビターを中和し、さらに止血に必要な程度まで凝固因子レベルを上げる方法 |
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バイパス止血療法 | バイパス製剤を投与することによって、第Ⅸ因子に頼らずに他の血液凝固因子の働きを借りて止血させる方法 |
2022年6月作成 BNF46M001A